2022年8月〜から1年間、秋田魁新報等の新聞で連載されていたコラム「今日もココロをストレッチ」を一部加筆修正して掲載します。
第1話
その昔、マンガの神様・手塚治虫さんが描いた近未来の世界には、テレビ電話でおしゃべりとか、空飛ぶクルマでドライブなど、夢のようなまだ見ぬテクノロジーが溢れていました。半世紀以上前に想像した未来はすでに多くが現在の生活の中で実現されています。テレビ電話でおしゃべりはご存知の通り、オンライン会話ツールとして私たちの生活にはなくてはならないまでに普及しています。
また空飛ぶクルマは数年後には実証実験の段階まで開発が進んでいます。10年後の私たちは空もスイスイ、なんてことが可能になっているのかもしれませんね。
オンライン会話ツールは特にこの数年間で多様な使い方ができるようになりました。1対1の会話だけではなく、1対多数の授業や講演、セミナーなど様々な活用方法が広がっています。画期的で便利なオンライン会話ツールですが、もちろんデメリットもあります。研究者からの警鐘として「心のつながりが感じづらい」ということが挙げられています。画面に映った相手の心動きを知るには非言語情報を読み取ることが必要ですがオンラインではそれが難しい。その結果として人はストレスを感じやすいのだそうです。非言語情報とは表情や声音、呼吸のスピードや話のリズムなど、まさに言葉以外の情報です。対面して人と話すときは無意識に感じ取っているもので、この非言語情報のやりとりが「心のつながりが感じられる」という、コミュニケーションでは重要な要因です。
テクノロジーの進化はこれからも私たちにより便利な生活を提供してくれるでしょう。一方で人の心を満たすのは利便性とは別のところにある、ということを私たち自身が知っていることは大切なことでしょう。
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