株式会社クオリティ・アンド・バリュー

今日もココロをストレッチ

2022年8月〜から1年間、秋田魁新報等の新聞で連載されていたコラム「今日もココロをストレッチ」を一部加筆修正して掲載します。

第2話

疲れたら歩こう~脳の休め方

散歩を日々の日課にしている方は多く、私もその一人です。朝の早い時間に澄んだ空気の中を歩くのは気分が良く、1日のスタートのいいきっかけになります。また、昼間や夜も仕事や会食で外に出ている時、近いところならば歩いて移動します。都市部のターミナル駅は巨大してしまって駅の構内を歩くのもタイヘン、交通機関を使って移動するよりも歩いた方が時間短縮になることもあります。
散歩は手軽な有酸素運動として健康づくりに役立ちますが、疲れた脳をリフレッシュさせる効果もあるようです。

私たち現代人の脳は1日中忙しく活動しています。眠っている時でさえ働いている脳が休まるのは、「ぼ〜っ」と何も考えずに過ごしているときのみ。けれども何も考えないって案外難しいです。特に普段から忙しくしている人ほど、「ぼ〜っ」としようとしても、いつの間にか何かを考えていることが多い。
そんな時、散歩をしたり、仕事の移動を歩きに変えて「ぼ〜っ」のチャンスにしちゃいましょう。
ひたすら歩いていると脳がアイドリング状態に入り、デフォルト・ネットワークが活動し始めます。デフォルト・ネットワークとは脳のメンテナンス活動のこと。この状態になると脳は適度に休むことが出来ます。

デフォルト・ネットワークが活動しやすい歩き方はいくつか条件があるようです。まず、自分がよく知っている場所を歩くこと。知らない場所だと周りに意識がいってしまって歩くことに集中できませんからね。歩く距離や時間は頭がカラッポになりスッキリした気分になるまで。自分の状態に合わせて歩いてみてください。そしてもうひとつ、ひとりで気ままに歩くことを楽しみましょう。頭をカラッポにすることが目的なので誰かと話しながらっていうのはダメなんですね。またヘッドホンで音楽を聞きながら、というのも邪魔になると思った方がいいでしょう。

なんだか頭が疲れたな、と感じたら外に出て歩いてみる。脳に余白をつくる、簡単なリフレッシュ方法です。

第1話

テクノロジーと私たちのつながり

その昔、マンガの神様・手塚治虫さんが描いた近未来の世界には、テレビ電話でおしゃべりとか、空飛ぶクルマでドライブなど、夢のようなまだ見ぬテクノロジーが溢れていました。半世紀以上前に想像した未来はすでに多くが現在の生活の中で実現されています。テレビ電話でおしゃべりはご存知の通り、オンライン会話ツールとして私たちの生活にはなくてはならないまでに普及しています。
また空飛ぶクルマは数年後には実証実験の段階まで開発が進んでいます。10年後の私たちは空もスイスイ、なんてことが可能になっているのかもしれませんね。

オンライン会話ツールは特にこの数年間で多様な使い方ができるようになりました。1対1の会話だけではなく、1対多数の授業や講演、セミナーなど様々な活用方法が広がっています。画期的で便利なオンライン会話ツールですが、もちろんデメリットもあります。研究者からの警鐘として「心のつながりが感じづらい」ということが挙げられています。画面に映った相手の心動きを知るには非言語情報を読み取ることが必要ですがオンラインではそれが難しい。その結果として人はストレスを感じやすいのだそうです。非言語情報とは表情や声音、呼吸のスピードや話のリズムなど、まさに言葉以外の情報です。対面して人と話すときは無意識に感じ取っているもので、この非言語情報のやりとりが「心のつながりが感じられる」という、コミュニケーションでは重要な要因です。

テクノロジーの進化はこれからも私たちにより便利な生活を提供してくれるでしょう。一方で人の心を満たすのは利便性とは別のところにある、ということを私たち自身が知っていることは大切なことでしょう。

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