2022年8月〜から1年間、秋田魁新報等の新聞で連載されていたコラム「今日もココロをストレッチ」を一部加筆修正して掲載します。
第7話
話しづらさ、伝わりづらさを感じる相手に対して苦手意識を持ってしまうことがあります。
以前、勤めていた会社の上司と話をすると、話がかみ合わないことが多くて話すのがユウウツ、なんてことがありました。
けれども、「合わない」って感じるのはなにが合っていないからそう感じるんだろうと常々思っていたんですね。
さて、今回のテーマは「合わない」の正体です。
心理学のひとつの考え方として「感覚の違い」特に「五感の使い方の違い」から「合わない」と感じることがあるようです。
私たちは五感を通じて外界の情報をインプットします。
見て・聞いて・触れて・匂って・味わう。
それぞれ視覚・聴覚・触覚・臭覚・味覚、これが五感です。
ごく自然に五感を使って脳内で情報処理をして考え、話すといったアウトプットをしているのですが、このときの情報処理の仕方が違いをつくり出しているようです。
視覚をよく使う人、聴覚をよく使う人、触覚・臭覚・味覚を合わせた体感覚をよく使う人、というように五感の使い方にはクセがあって、このクセの違いが思考や行動、話し方などに現れます。
視覚タイプはイメージ・映像を頭の中に描きながら話をします。早口で次々と話の展開が変わり、主語が抜けることも多い。このタイプの人は話をしている時に目線は上に向きがち、という特徴があります。
聴覚タイプは文字や音を処理するのが得意です。論理的で分析的な考え方・話し方で抑揚のない話し方、目線は上でも下でもなく目と並行です。
体感覚タイプは体に感じる感覚から言葉にします。体の感覚を感じてから話すので言葉が出てくるのに少し時間がかかります。話し方はゆっくり、でもとても説得感のある話し方をします。そして目線は下向きやや右であることが多いです。
もちろん、私たちは無意識に五感をバランスよくつかって日常生活を送っているので、五感のクセが身体や言葉からはっきりわかることはなかなかないのですが、けれどもよ〜く見ていると、話し方やジェスチャーなどに表現されます。
「合わない」と感じてしまう原因はここにあって、
同じタイプ同志は話が通じやすく違うタイプ同志は「どうもあの人の言っていることがよくわからない」と感じやすいんですね。
簡単に各タイプの特徴をまとめました。
さて、「合わない」と感じると苦手意識をもってしまいがち、それをどうにかしましょう。
次回は各タイプ別の深掘りとアプローチ方法に続きます。
第6話
誰だって悩みのひとつやふたつはあるものです。
「子どもが勉強しないので心配で心配で・・・」
「上司がイヤなヤツで毎日が苦痛なんです」
「息子の嫁が気が利かなくてイライラしっぱなし」
さてこの3つの悩み、全く別のことのようにみえて実は共通することがあります。
それは悩みの原因は「相手」であって、その被害を受けているのは「自分」という見方をしている。つまり「被害者意識」を持っているということです。
「被害者意識」には、相手に非があると決めつける攻撃性、そして自分には状況を変える力がない無力感や諦め、さらには可哀そうな自分という自己憐憫(れんびん)が隠れています。
相手に「~された」「~してくれない」と思い続けているのって不満を抱きながらそこに留まり続けていること。
それじゃあ、状況はなんら変わりません。
どうしても、少しでも、何かを変えたいと思うなら、やっぱり自分が変わって行動をしないとダメなんですね。
「他人と過去は変わらない、自分と未来は変えられる」は本当です。
自分自身が主体的に関わる気持ちのことを「当事者意識」って言います。
当事者意識を持つと不思議と人は積極的に自分から動くようになるんです。
先ほどの3つの悩みは相手との関係性の課題でもあります。
子どもの勉強も、嫌な上司も、気に入らない嫁も最終的には自分の関わり方ひとつで相手も状況も変わっていきます。
もちろん、自分から動くことには苦労がつきもの、でもそれも長い人生の中では面白さのひとつだと思うんです。
あとになって振り返ったときに「あの時大変だったけど今思うと笑えるな」と、ちょっと先の自分と未来を想像してみたら少しだけ動けるかもしれませんよ。
ついでにマメ知識をひとつ。
「当事者意識」という言葉は英語ではOwnershipといいます。「Own」は「負う」という意味でダジャレのようですが、自分が背負っている課題と自覚することが解決の一歩になります。
第5話
「ちょっと疲れたな」という時、私たちはお茶を飲んでホッとしたり、身体をストレッチしたりして気分を変えようとしますね。それはそれでいいのですが、もっと手軽に、一瞬にして気分が変わる方法があります。
それは「目線を上げること」です。
疲れた時、落ち込んでいる時、人はたいてい下を向いて背中も丸まり、小さく固まっていることが多い。自分のそんな状態に気付いたら、すっと頭を起こし目線を上に上げてみてください。するとあら不思議、視野が拡がって周りが明るく見える。気分もシャキっと変わります。
目線を上げると姿勢も良くなり、深く息を吸い込めるようになります。
深呼吸も自然にできて一石二鳥です。深呼吸が心の安定に効果的であることはご存知の方も多いですね。
目という器官は脳の一部が外に露出した部分である、とある学説では言われていて、目の動きは脳と連動する部分があるようです。私たちの五感とも密接に関わっており、目の動きが心の動きと関連性があると考えられています。
例えば、目線を上にすると頭の中で視覚的なイメージや映像が浮かびやすくなります。昨日食べたランチを思い出してみてください。その映像が頭に浮かんでいる時、あなたの目線は上にいっているはずです。
目線を目と並行にすると音や言葉に集中しやすくなります。これは聴覚を使う時の目線です。大好きなあの曲を頭の中でリピートしようとすると目線は平行です。
下に向けた目線は自分自身の体の感覚に注意がいきます。なにか美味しいものを味わうとき、目を閉じて食べ物の味や香り、食感に感覚を研ぎ澄ませ味覚を感じようとします。同様に触覚や臭覚といった身体の感覚を自分の中に探るときには目を閉じたり、下を向いたりすることが多いようです。
さて、目線を上げると気分が回復する、という現象もこの学説の一部です。
集中してパソコン仕事をしたとき、オンライン会議が終わってホッとしたとき、あるいは、さっきのイヤ~な出来事を思い出してしまったとき。
いつでもどこでも、目線をちょこっと上げてみてください。簡単にできる気分転換、元気チャージの方法です。
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