株式会社クオリティ・アンド・バリュー

今日もココロをストレッチ

2022年8月〜から1年間、秋田魁新報等の新聞で連載されていたコラム「今日もココロをストレッチ」を一部加筆修正して掲載します。

第8話

「なぜあの人とは合わないのか」〜アプローチ編

人はそれぞれに五感の使い方にクセがあり、「この人とは合う」「あの人とは合わない」とコミュニケーションの感覚の違いを引き起こしやすい、というお話が前回のこと。この五感のクセには3種類あって、ビジュアルを頭に描いて考える視覚タイプ、文字情報による論理思考が特徴なのは聴覚タイプ、そして体に感じる感覚から言葉を探す体感覚タイプに分かれる。それぞれに異なる思考・コミュニケーションの方法があるので自分と同じタイプは「わかる・合う」のですが異なるタイプは「なに言ってるの。よくわからん」となりやすい。

理由は分かったけど現実的にはどうしたらいいか。
結論から言えば、すぐに相手のいうことがわかる、ばっちり合う、というような魔法の方法はありません。
なにかしら、“特効薬”を期待していた方がいたらごめんなさい…
残念ながら、なんの苦もなく努力なく、すぐに付き合いづらい相手とうまくいくようになる、なんてことありません。
ただし、ひとつの方法として相手のタイプと合わせていく方法はあります。

まずは「苦手だな」と思う気持ちをちょっと横に置いて、相手をよく知ろう、と観察することからスタートです。
相手が誰かと話している時のジェスチャーや姿勢を遠目から観察してみる。遠目からだったら冷静によく観察できますよね。
直接話すときにはちょっとチャレンジになりますが、目線の動きや声の抑揚や話す速さなど、よく観てみる。

すぐにはわからないかもしれませんが、よ〜く見ていると特徴がとらえられるようになります。「わりと腕組みが多い」、「目線が下によく行くみたい」とか、その人のコミュニケーションの特徴がわかるようになってきます。
そこで「この人、○○タイプかな」と推論を立て、タイプに合わせてコミュニケーションをとってみます。

さぁ、いよいよ実践です。

視覚タイプであれば目線が上に行くことが多い、これは頭の中でビジュアルを観ながら話していることが多いのですが、そのビジュアルを話してもらって自分も共有します。
聴覚タイプは話が手順を追ってきっちり話す方が多いので、文字にして確認しながら詳細に聞かせてもらうこともあります。
体感覚タイプならば、少しゆったりとペースを合わせて「どんな感じがしますか?」と感覚的な話をしてみます。

歩調を合わせるつもりでこちらのアプローチを変えてみる。
ある程度の訓練は必要ですが、相手に合わせたアプローチができるようになると、少しずつ相手を理解できるようになると思います。

この方法は仕事にも使えるものです。
私は仕事の場で相手が視覚だなと判断したら、例えば資料づくりには「文字少な目、絵や写真などのビジュアル多め」で作成します。
聴覚であれば逆です。文章で説明し、論理構成や誤字脱字にも気を配ります。
体感覚の場合は、なるべく実際にやってみましょう、と実践に持って行くようにします。
相手に合わせたアプローチをすることで相手の「わかった感」を高める、これはお互いのwin-winになります。

私もそうなんですが苦手だな、と思う人とは距離を置いてしまいがちで、コミュニケーションが途絶えてしまうことも多い。

でもそれはもったいない。

相手を好きになる必要はありません。
けれども「イヤだ」「苦手」という感情をちょっと横に置いて、相手を“研究対象”として観てみると、案外興味深い人として理解できるようになります。
感情に振り回されずに客観的に相手を観れるようになると、自分が楽に付き合える距離を取りながら必要なコミュニケーションができるようになります。
「苦手だ」と思う人が多いと、日常に困難を感じやすくなります。なるべく苦手な人を減らしていくこともできるのだと知っていると気持ちが楽になるのではないでしょうか。

第7話

「あの人と合わない」はどこから来るのか?~感覚の違い編

話しづらさ、伝わりづらさを感じる相手に対して苦手意識を持ってしまうことがあります。
以前、勤めていた会社の上司と話をすると、話がかみ合わないことが多くて話すのがユウウツ、なんてことがありました。
けれども、「合わない」って感じるのはなにが合っていないからそう感じるんだろうと常々思っていたんですね。

さて、今回のテーマは「合わない」の正体です。

心理学のひとつの考え方として「感覚の違い」特に「五感の使い方の違い」から「合わない」と感じることがあるようです。

私たちは五感を通じて外界の情報をインプットします。
見て・聞いて・触れて・匂って・味わう。
それぞれ視覚・聴覚・触覚・臭覚・味覚、これが五感です。
ごく自然に五感を使って脳内で情報処理をして考え、話すといったアウトプットをしているのですが、このときの情報処理の仕方が違いをつくり出しているようです。

視覚をよく使う人、聴覚をよく使う人、触覚・臭覚・味覚を合わせた体感覚をよく使う人、というように五感の使い方にはクセがあって、このクセの違いが思考や行動、話し方などに現れます。

視覚タイプはイメージ・映像を頭の中に描きながら話をします。早口で次々と話の展開が変わり、主語が抜けることも多い。このタイプの人は話をしている時に目線は上に向きがち、という特徴があります。
聴覚タイプは文字や音を処理するのが得意です。論理的で分析的な考え方・話し方で抑揚のない話し方、目線は上でも下でもなく目と並行です。
体感覚タイプは体に感じる感覚から言葉にします。体の感覚を感じてから話すので言葉が出てくるのに少し時間がかかります。話し方はゆっくり、でもとても説得感のある話し方をします。そして目線は下向きやや右であることが多いです。

もちろん、私たちは無意識に五感をバランスよくつかって日常生活を送っているので、五感のクセが身体や言葉からはっきりわかることはなかなかないのですが、けれどもよ〜く見ていると、話し方やジェスチャーなどに表現されます。

「合わない」と感じてしまう原因はここにあって、
同じタイプ同志は話が通じやすく違うタイプ同志は「どうもあの人の言っていることがよくわからない」と感じやすいんですね。

簡単に各タイプの特徴をまとめました。
さて、「合わない」と感じると苦手意識をもってしまいがち、それをどうにかしましょう。
次回は各タイプ別の深掘りとアプローチ方法に続きます。

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第6話

それって被害者意識?悩みを手放す最初の一歩

誰だって悩みのひとつやふたつはあるものです。

「子どもが勉強しないので心配で心配で・・・」
「上司がイヤなヤツで毎日が苦痛なんです」
「息子の嫁が気が利かなくてイライラしっぱなし」

さてこの3つの悩み、全く別のことのようにみえて実は共通することがあります。
それは悩みの原因は「相手」であって、その被害を受けているのは「自分」という見方をしている。つまり「被害者意識」を持っているということです。
「被害者意識」には、相手に非があると決めつける攻撃性、そして自分には状況を変える力がない無力感や諦め、さらには可哀そうな自分という自己憐憫(れんびん)が隠れています。

相手に「~された」「~してくれない」と思い続けているのって不満を抱きながらそこに留まり続けていること。
それじゃあ、状況はなんら変わりません。
どうしても、少しでも、何かを変えたいと思うなら、やっぱり自分が変わって行動をしないとダメなんですね。
「他人と過去は変わらない、自分と未来は変えられる」は本当です。

自分自身が主体的に関わる気持ちのことを「当事者意識」って言います。
当事者意識を持つと不思議と人は積極的に自分から動くようになるんです。

先ほどの3つの悩みは相手との関係性の課題でもあります。
子どもの勉強も、嫌な上司も、気に入らない嫁も最終的には自分の関わり方ひとつで相手も状況も変わっていきます。
もちろん、自分から動くことには苦労がつきもの、でもそれも長い人生の中では面白さのひとつだと思うんです。
あとになって振り返ったときに「あの時大変だったけど今思うと笑えるな」と、ちょっと先の自分と未来を想像してみたら少しだけ動けるかもしれませんよ。

ついでにマメ知識をひとつ。
「当事者意識」という言葉は英語ではOwnershipといいます。「Own」は「負う」という意味でダジャレのようですが、自分が背負っている課題と自覚することが解決の一歩になります。

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